空気にこだわるなら、“壁”を変える。自然素材・漆喰がつくる、健やかな暮らし #column
深呼吸したくなる家は、壁から生まれる
新築やリノベーションで家をつくるとき、間取りやデザイン、収納や設備にはこだわっても、「壁材」についてじっくり考えたことはありますか?
壁は、見た目以上に“空気”と関係しています。
今回は、そんな「空気を整える壁材」として注目される自然素材“漆喰(しっくい)”の魅力について、アレルギー対策や快適性の面から詳しくご紹介します。
化学物質に敏感な方、小さなお子さんがいるご家庭、ナチュラル志向の方にとっても、一読の価値ありです。
この記事を読めばわかること
✔ 漆喰とはどんな素材か、その歴史と特性
✔ 調湿・消臭・有害物質除去など健康面でのメリット
✔ ビニールクロスとの違い
✔ 漆喰を選ぶ際の注意点とメンテナンスの考え方
✔ 漆喰を暮らしにうまく取り入れるためのヒント
1. 漆喰ってどんな素材?
漆喰は、消石灰(水酸化カルシウム)を主成分とした自然由来の壁材です。古くは日本の城や蔵にも使われてきた、非常に歴史のある建築素材でもあります。
特徴としては以下のような点が挙げられます。
- 空気中の二酸化炭素と反応して硬化する「自己硬化性」
- 白く上品な質感と、ナチュラルで柔らかな見た目
- 高い防火性・調湿性を備え、快適な室内環境を保つ
現代では、無垢材や自然素材と組み合わせた家づくりと相性が良く、健康志向やデザイン志向の方から再評価されています。

2. 漆喰が“空気を変える”って本当?その健康効果
見た目はシンプルな白い壁。でもその内側では、目に見えない作用が日々働いています。
● 湿度を整えてくれる
漆喰の代表的な特徴が「調湿効果」です。
湿度が高いときは水分を吸収し、乾燥しているときは放出する──その自然なサイクルが、結露やカビの発生を抑え、快適な空間を保ちます。
● カビ・ダニの発生を抑制
アレルギーの原因となりやすいのが、カビやダニ。
湿度がコントロールされている空間では、それらの繁殖が起こりにくくなります。
● シックハウス症候群への対策にも
ホルムアルデヒドなど、建材に含まれる有害化学物質にも反応し、漆喰が吸着・分解することで空気をきれいに保ちます。
まさに、「壁の中に空気清浄機を仕込んだ」ような存在。それが漆喰なのです。
3. ビニールクロスとの違いは?使い比べて見えること
一般的な内装材である「ビニールクロス」と漆喰の違いを、以下に比較してみましょう。
比較項目 | 漆喰 | ビニールクロス |
---|---|---|
素材 | 自然素材(石灰が主成分) | 合成樹脂(塩ビ) |
調湿性 | 高い | ほとんどなし |
有害物質の放出 | なし(むしろ吸着・分解) | 接着剤によっては放出の可能性あり |
メンテナンス | 補修がしやすい | 全面張り替えが必要なことも |
質感・見た目 | 柔らかくナチュラル | 均一でやや無機質 |
もちろん、価格や施工のしやすさではビニールクロスに軍配が上がりますが、「空気」「健康」「快適性」の点では漆喰の優位性は明らかです。
4. 漆喰を取り入れるときの注意点とコスト感
● 白さゆえに、汚れは目立ちやすい
特にスイッチ周辺などは、手垢が気になることも。
ただし、軽い汚れであれば消しゴムや水拭きで落ち、ひび割れも部分的に塗り直し可能です。
● 施工に技術が必要
左官職人の腕によって仕上がりの美しさが変わります。
仕上がりにこだわりたい場合は、経験豊富な施工業者を選ぶのが理想です。
● コストはやや高め
ビニールクロスと比べると材料・施工ともにコストは高めになります。
そのため、以下のような「部分使い」で取り入れる方も増えています。
5. 暮らしに取り入れるなら「ここ」!漆喰のおすすめ活用例
「すべての部屋に漆喰は難しい…」という方へ、ポイント使いで効果を得られる場所をご紹介します。
- 寝室・子ども部屋
空気の質が気になる空間に、調湿効果と清浄効果を。 - 玄関やトイレなどのニオイがこもりやすい場所
消臭・吸湿効果が実感できるはず。 - リビングのアクセントウォール
光の当たり方で陰影ができ、空間に自然な表情が生まれます。 - 天井だけ漆喰にして湿気コントロール
蒸れがちな2階やロフトにおすすめ。
まとめ:漆喰という選択が、空気の質を変える
漆喰は、壁材というより「空気をつくる素材」と言っても過言ではありません。
見た目の美しさだけでなく、住む人の健康、快適性、暮らし方に寄り添ってくれる存在です。
自然素材のやさしさと、目に見えない空気の清らかさを暮らしに取り入れたいなら、漆喰はきっと“頼れる選択肢”になるでしょう。
ほんの少し壁にこだわるだけで、家はもっと心地よくなる。
あなたの家に、深呼吸したくなる空間を。