収納スペースが多いと暮らしやすい?実はそれ、落とし穴かもしれません#column

この記事でわかること

  • 「収納たっぷり=便利」が通用しない理由とは?
  • 実際の家づくりで起こった“配置ミス”の体験談
  • 家事動線と収納の最適なバランスのとり方
  • モデルハウスでしか感じられない収納の“リアル”とは?

◆「収納は多いほど安心」…それ、思い込みかも?

新しい住まいを計画するとき、多くの人がこう言います。「とにかく収納はたくさん欲しい」と。でもちょっと待ってください。収納は“多さ”よりも“置き方”と“使い方”が重要なんです。

むやみに数を増やすことで、かえって動線が複雑になったり、使いにくさを生んでしまうケースも少なくありません。収納は“しまう場所”であると同時に、“暮らしを動かす導線”の一部。配置を誤ると、その快適さを一気に損なってしまいます。

◆ケーススタディ:詰め込みすぎた結果、暮らしにくくなった家

東京都郊外で家を建てた40代の三浦さんご夫婦。子育て真っ最中ということもあり、「収納はたっぷり用意しておこう」との思いで、間取りに収納スペースをふんだんに盛り込みました。

  • シューズクロークに2畳
  • リビング横にウォークイン収納
  • キッチン脇には食品庫とは別にストックルーム
  • 子ども部屋には各自クローゼット+本棚
  • 階段下にも全面収納を設置

当初は「これで安心」と思っていたそうですが、いざ住んでみると違和感が…。

「収納のために通りづらい場所が増えた」
「結局、奥の方は全然使ってない」

といった“もったいない空間”がいくつも生まれていたのです。

◆「安心のための収納」が生活の足かせに?

多くの収納を設けた家でよくあるのが、「しまっているけれど使っていない」アイテムの山。
収納が多すぎることで、「とりあえず取っておく」ものが増え、結果的に空間が圧迫され、家の中が重たく感じるようになります。

さらに問題なのは、収納スペースが生活の動線に食い込んでしまうケース。

たとえば、

  • リビングから洗面所へ向かう廊下に大型収納を設置してしまい、家族がすれ違うたびにストレスを感じる
  • キッチン背面に大容量の棚を作りすぎて、冷蔵庫の前が狭くなった

など、「便利なはずの収納が、暮らしのジャマになる」矛盾が起きてしまうのです。

◆図面では見えない「違和感」は、体感して初めてわかる

設計段階では気づけない不便さって、実はたくさんあります。
「この収納、本当に使うの?」「動線の流れが不自然じゃない?」という疑問は、図面上では気づきにくく、実際に“歩いてみて”初めて見えてくるものなんです。

そこで重要なのが、モデルハウスでの“収納チェック”

モデルハウスを見学する際、以下のような観点で見てみましょう:

  • 収納のドアを開け閉めしてみる(動線との干渉をチェック)
  • 実際にそこに物を入れるイメージが湧くか?
  • 奥行きが深すぎたり、取り出しづらい設計になっていないか?

3〜5軒ほど見て回ると、「自分たちに合った収納」の輪郭がくっきりしてきます。

brown wooden bed frame with white bed mattress

◆収納で失敗しないための黄金ルール3つ

注文住宅での収納設計を成功させるためには、次の3つのポイントを意識しましょう。

1. 「何を入れるか」を明確にしてから設計を

ただの空きスペースではなく、「ここには掃除機、ここには子どもの文具」と、収納の中身を想定することでムダを防げます。

2. 動線の流れを第一に考える

収納が通路や作業エリアの邪魔をしていないか、暮らしの“流れ”を意識して配置するのが大切です。

3. モデルハウスで“リアルな使い方”をシミュレーション

実際に見て、動いて、「ここに何を置くか」を体で感じてください。紙の間取り図では見えない違和感が必ずあります。

◆まとめ:収納は“住み心地”を左右するパーツ

収納は、ただ空間を整えるためだけのものではありません。日々の暮らしをスムーズにし、動線を支える役割があります。

「とにかくたくさんあれば安心」という感覚を一度疑い、本当に必要な場所に、必要な量を確保することが、後悔のない家づくりへの近道です。

あなたの新しい暮らしが、より快適なものになるように。ぜひ展示場へ足を運び、“収納の本当の役割”を、自分の目と体で確かめてみてくださいね。