太陽光パネルが“ムダ金”になる家の共通点――屋根の向きと影に騙されて、20万円以上損した家族の実話 #column

この記事を読めば分かること

  • 太陽光発電に向いていない家の特徴とは?
  • 屋根の向き・影・地域特性が発電量にどう影響するか?
  • 設置しても「損する家」を事前に見分ける方法
  • 失敗しないための判断ポイントと対策

はじめに

「これで電気代が浮くね!」
太陽光パネルを設置した日の夜、都内に住む斉藤さん夫婦はそう言って乾杯しました。でも1年後、返ってきたのは予想の半分以下の発電量と、回収できない投資額でした。

なぜか――答えは「その家が太陽光に向いていなかったから」。

この記事では、そんな“知らずに損する人”を減らすために、太陽光発電に向いていない家の特徴を、あなたにも分かるように解説します。もしあなたが、太陽光を検討しているなら、読まずに設置するのは危険です。

brown brick house with solar panels on roof

「南向き」じゃないとダメ?屋根の角度が運命を変える理由

角度と方角が“発電の95%”を決めてしまう現実

ある夏の日、午前10時。東向きの屋根に並ぶパネルが、ちょうど日差しを浴び始めます。でも、その角度は完璧ではありません。
太陽の動きに合わせるなら、南向き+30度前後の傾斜がベスト。少しでもズレると、発電効率はガクッと下がります。

事実、斉藤さん宅では東向きの屋根に設置したせいで、想定より年間18%も少ない発電量に。しかも屋根が小さく10枚しか載せられなかったため、数十万円の初期費用に対して、リターンは5年で2万円程度だったそうです。

静かに忍び寄る“影の罠”――日差しを遮るのは、思わぬ身近なもの

午後3時。木の影がパネルを覆う

風にそよぐ一本の樹。それがパネルに落とす“影”が、毎日数時間の発電を奪っていたら?
あなたの家の隣に2階建ての建物があったり、庭のシンボルツリーが高く伸びていたりするなら要注意。

特に冬場は日差しの角度が浅く、少しの障害物でもパネルに影が落ちやすくなります。「1日たった15分の影でも年間で数万円分の電力損失につながる」と言われています。設置前に現地で“影の動き”を観察することがカギです。

屋根が古いと、パネルの“重さ”が悲鳴をあげる

10年選手の屋根には要注意

築30年の家に太陽光を載せた田中さんは、1年後に屋根の一部が歪んできたことに気づきました。原因は、パネルの重み。

太陽光パネルは1枚あたり15〜20kg、それが10〜20枚並べば200〜400kgに達します。古い木造住宅や劣化の進んだ屋根では、この重みに耐えられず、歪みや雨漏りの原因になることも。

設置前に屋根の「構造チェック」を受けるのは、もはやマナーです。

地域によって“太陽の恵み”は平等じゃない

あなたの町は、どれだけ日照時間があるか知ってますか?

新潟・金沢・札幌など、冬の曇りが多い地域では、晴天率が低いため太陽光の効率が落ちます。

「太陽光は曇りでも発電する」と言われますが、実際には晴天時の半分以下。年に数ヶ月間、ほとんど働かないパネルもあるのです。
その結果、設置費用の回収に15年〜20年かかることもあり、“エコ”どころか“重荷”になることも。

設置前には、自分の住む地域の「年間日照量」や「日射マップ(NEDO)」を確認しておきましょう。

暑すぎる地域では、逆に発電が減るって本当?

太陽が強すぎると、パネルが“ダウン”する

沖縄に移住した後藤さんは、「太陽が強いから発電もすごい」と思っていました。でも実際には、表面温度が上がりすぎて発電効率が低下。

太陽光パネルは高温が苦手。表面が60度を超えると、効率が10〜15%もダウンします。
高温地域では、“少し浮かせて設置する”とか、“通気性を考慮した台座にする”などの工夫が必要です。

海の近くや雪国は、パネルにとっては“敵地”になることも

潮風と積雪が招く、故障リスクと発電ゼロの日々

海辺に住む佐藤さんは、設置からわずか3年でパネルの金属部分がサビてきたことに気づきました。
塩分を含んだ風が、配線やフレームを傷めるのです。

一方、東北や北陸では「雪でパネルが埋もれて2ヶ月間、発電ゼロだった」という声もあります。
積雪地域には、傾斜30度以上+雪が滑りやすい表面加工のパネルが向いています。
そして海辺なら、「塩害対応仕様」かどうかを必ずチェックしましょう。

それでも設置したいなら、この3ステップだけは守ろう

  1. 現地調査は“太陽が動く時間帯”に同行する
     朝と夕方の影の動きを、目で見て確認。
  2. 3社以上からプランと見積もりをもらう
     比較してはじめて、リスクの有無や対策が見えてきます。
  3. 「もしものとき」の補償や撤去費用を確認する
     設置した後に“やっぱり合わなかった”と気づいたときの備えを忘れずに。

まとめ:太陽光発電が“投資”になるか“損失”になるかは、家しだい

どんなに優れたパネルでも、「家の条件」が悪ければその力は発揮されません。
逆に、条件さえ整っていれば、10年で元が取れ、以降は“利益”が出ることもあります。あなたの家は、果たして「太陽光にふさわしい家」なのでしょうか?
その判断こそが、最初にして最大の勝負です。